フランスとスペインにまたがるピレネー山脈。日本のガイドブックにはあまり情報がなく(特にスペイン側)、日本からの観光客もそれほど多くありません。
今回、フランス側、スペイン側を少しづつ旅してきましたのでご紹介します。フランス側ピレネーはトロッコ電車Train d'Artouste(夏季のみ楽しめるトロッコ電車で標高2,000mを走り渓谷がけっぷちを走る少しスリリングな乗り物)、スペイン側は(トルラ)世界遺産であるParque nacional de Ordesa y Monte Perdido(オルデサ・イ・モンテ・ペルディード国立公園)のご紹介です。Train d'ArtousteからParque nacional de Ordesa y Monte Perdidoまでは65km、車で1時間20分の距離ですので、国立公園で奥地までトレッキングに行かれない方は、両方を1日でまわることができます。
Train d'Artouste/Artouste Train アクセス
フランス南部のPau/ポーという少し大きめの町から60km、車で1時間。スペイン国境から11km、車で18分です。一見、外見は普通のスキー場という感じで、ゴンドラ付近には宿泊施設もあったので、冬はスキー、夏はトレッキングかな?という印象でした。下からは一切電車も見えなかったので、まさかトロッコ電車があってこの奥にあんな素晴らしい渓谷があるとは予想もできませんでした。
こちらは冬季はスキー場になっていますのでトロッコ電車が楽しめるのは5月中旬から10月上旬までです。ポーから山を登っていくので所々道が狭いところもありますし、地元の慣れている方はかなり運転速度が速いので注意が必要です。しかし、バスも通る道なのでオフロードというわけではありませんのでご安心を。
私達もポーからナビを頼りにスペイン国境へと車で登っていきました。実は国境を越えスペインへ入ってからすぐの場所にもスキー場がたくさんあり、最初はスキー場へ続く道だと知らずに走っていたのでどんな道だろうかと内心ドキドキしていましたが、雪道でもなかったので案外スムーズに峠付近まで行くことができました。但し、すれ違いの際は岩むき出しの場所も多かったので端に寄りすぎないように気を付けてください。
料金
2020年は料金変更の可能性もありますが参考までに2019年の料金をご紹介します。2020年は5/21から10/4まで運行予定です。
今回私たちはDiscovery ticketを利用しました。10月上旬に行ったので大人1人22ユーロです。トロッコ電車に乗るにはケーブルカーで上まで上がり、そこからトロッコに乗り換えが必要です。ケーブルカー(日本でいうゴンドラ)はひっきりなしに動いているので時間を気にする必要はなかったのですが、トロッコの時間は決まっているので時間に余裕をもって行ってください。ゴンドラを下りたら乗り場はすぐ目の前です。
このチケットには
ケーブルカー往復+トロッコ往復+1時間20分到着地での自由時間
がセットになったチケットです。トロッコは30分に1本運行しています。(詳細はHPにてご確認ください)
気軽に行って少し景色を見たりお散歩して帰ってきたい方向けのチケットです。本格的に1日トレッキングをしたりしたい方にはGetaway ticketの方が向いています。後程トロッコの到着駅からのコースもご紹介します。
HPはこちらから
↓↓↓
https://www.artouste.fr/billet-train-d-artouste
トロッコ電車に乗りに、いざ出発
駐車場からケーブルカー乗り場に行く間にチケットセンターがあります。フランス語がメインで英語があまり通じませんでしたが、すぐ隣のツーリストインフォメーションの方が英語でトロッコの説明をしてくださり、チケットもスムーズに買えました。トロッコの時間やその他アクティビティーをされたい方はそちらで相談できます。
ケーブルカーは乗車時刻約10分です。上に到着するとトロッコの乗り場はすぐ近くでした。乗車中風が強くゴンドラが数分止まりました。スキー場ではよくあることなのですが、ギリギリに乗車するとトロッコに間に合わなくなってしまうので注意が必要です。
出発時刻近くになるとゲートが開きます。トロッコの乗車時間は55分。約10キロ以上の距離をゆっくり山の奥へと進んでいきます。長い時間乗車しますので寒さ対策、日よけ対策が必要です。トロッコと壮大な景色を一緒に写真に収めたい方は、後方の車両に乗られることをお勧めします。良い景色は、行きは左側、帰りは右側に見えます。
出発するとすぐにトンネルへ。トロッコ1台ががやっと入れるくらいの小さなトンネルを抜けると一気に景色が変わります。
Soussouéou Valleyという渓谷の山肌に沿って作られた線路をどんどん山奥へ進んでいきます。
結構高い場所を走ってくれるので渓谷が一望でき、素晴らしい自然そのままの景色を見ることができます。線路は単線で途中すれ違いの場所が設けられています。線路ががけっぷちぎりぎりの場所に敷かれているので意外とスリリングです。
ここの渓谷では野生のマーモットが生息しているので、運が良ければ会うことができるかもしれません。
最初から最後まで壮大な景色を楽しむことができます。55分は長いと感じるかもしれませんが、ゆっくり進んでいくので山だけではなく植物なども見ることができるので、あっという間に到着します。写真がお好きな方は特に楽しいと思います。
トンネルを通過した後素晴らしい景色が広がるので、寒さを忘れて写真や動画を夢中で撮ってしまいました。ゆっくりと電車が進んでいくので、谷の底にある家を眺めてみたり、空を優雅に飛んでいる鳥を見たり、自然が作り出す山々の姿を見たりと楽しくて仕方ありませんでした(笑)大自然の中で育ったのでおいしい空気も身に染みました。
Lake Artouste
さて、駅に到着したら早速お散歩に出発です。徒歩20分歩いた先にLake Artousteがありますので、是非行ってみてください。1時間ちょっと到着地付近で過ごすことができますので、ちょっとしたスナックなどを持って綺麗な湖のほとりで一息つくのがお勧めです。湖までの道は、石がゴロゴロ落ちているような登山道を登っていく必要がありますのでスニーカーが必要です。
到着した駅の掲示板にルートが書いてあります。1時間の滞在だと③番のルートです。地図では本当に近くで、距離も決して遠くはありませんが登り道です。丸一日楽しみたい方は④や⑤のルートもありますが、完全に登山なので装備の準備をしてきてください。
乗客の中には登山客はもちろんですが、釣竿を持った方もちらほらいたのでそんな楽しみもあるみたいです。【自称】ニジマス釣り名人の私、こんな楽しみもあるのであれば、次回来ることがあれば竿を持参しようと思っています。
お天気に恵まれ素晴らしい景色が見れました。空気はもちろん澄んでいて、騒々しい音も一切しない静かな空間です。この空間にいるだけでかなりリフレッシュできます。
湖から後ろを振り返れば渓谷を見渡せ、次の時間のトロッコがやってくるのが見えます。
かなりお手軽に大自然を堪能できるトロッコ電車、いかがでしたか?残念ながら乗る機会は来年になってしまいますが、緑豊かなシーズンに行くとたくさんの動物も見ることができる様なので是非夏にお出かけください。
その他アクティビティ
トロッコ電車以外も楽しめるアクティビティがあります。ヨーロッパではメジャーなダウンヒルやトレイルラン、マウンテンカートもできます。いずれにしても大自然を堪能できるスポーツなのでお天気の日に楽しみに来てみてください。
スペイン/フランスの国境も楽しいよ
スペインの国境まで約10キロ。フランス側に下りていくのではなくてせっかくなのでスペイン国境まで足を伸ばされてはいかがでしょうか?
スペインとの国境に近づくと段々広々とした景色になりこちらもまた素敵な景色です。大自然の中でのびのびと生活している牛や馬たちと触れ合うこともできます。車道でものびのびとお休みしていますので運転には気を付けてくださいね♪
所々車を停車できる場所がありますので、車から降りて馬とたわむれに行かれている方もちらほら。
スペインとの国境地点にはちょっとしたお店があり、広々とした駐車場もあります。そこに駐車して遅めの昼食にしました。ヨーロッパでは本当にキャンピングカーの方が多いので、みなさん椅子を出してこの壮大な景色を見ながら食事を楽しんでいました。我が家は外でクッキング。景色も良いし、空気も良いし、最高の時間です。
この辺りはロッククライミングもできる様で、車を停めて山へ入っていく方も見かけました。ロッククライミングが趣味の方は是非挑戦してみてください。
スペイン/トルラ(torla)
さてさて、フランスとスペインの国境でしばらくランチをしてから車を走らせること約60キロ、本日の宿スペイン/トルラにやってきました。(宿と言ってもサンセバスチャンで贅沢をしてしまったのでキャンプ場での生活が続きます。)町は石造りの家が並び、こじんまりしていて雰囲気がとても素敵。そして町から見える山々の景色が本当に素晴らしい!! 壮大です。
トルラは世界遺産であるオルデサ・イ・モンテ・ペルディード国立公園へ行く人々の拠点となる村で、国立公園内には無数にハイキングパスがあり、私が行った際もたくさんの方がハイキングからちょうど戻ってきていました。もともとはここでハイキングをする予定でしたが、素敵なトロッコを見つけてしまったので到着が夕方になってしまいました。。しかしせっかく来たのだからと少し歩いてみることに。
10月上旬に訪れたのですが、特に規制もなくハイキングのスタート地点の駐車場まで行けました。
早速出発。入り口の看板によると約1200m整備された道があり、ほぼ平坦なので車いすの方でも楽しめるようになっているのだとか。最初に目に入ってくるのはブナの原生林。とても背が高い木がたくさん。ちょっとひんやりした風が吹いています。歩いていてとても気持ちがいい場所です。
10分程歩くと少し開けた場所に出ました。そこからは周りの壮大な山がドンとお目見え。スケールが大きくてかなり見ごたえがあります。
緑もきれいですが、川ももちろん驚くほどきれいで少し覗けばたくさんの魚を見ることができます。自然豊かな場所で、たくさんの観光客を魅了しているのが分かります。cola de caballoという有名な滝があり、そちらへ行くには往復7~8時間掛かるようですが、時間があれば是非行ってみたかったです。
そんなに歩きたくない方はトルラの町で4×4Taxiというツアーがあり、車で山の上まで連れてってくれるツアーがあるのでそちらを利用しても面白いかもしれません。私たちが行った時は午前中のツアーがなく、夕方のサンセットツアーのみだったのでやむなく断念。日によって午前も開催されるかどうかが決まるのかもしれません。
本日のお宿 Camping Rio Ara
本日のお宿はお決まりのキャンプ場なのですが、トルラのキャンプ場は施設も景色も最高にきれいでした。
スペインのキャンプ場は本当にきれいに保たれています。シャワールームやお手洗いはもちろん、キャンプサイトもこの通りしっかり整備されていて清潔そのものです。そして時期的なものもあるかもしれませんが、スペインでは日本のように蚊がいませんでした。キャンプとなると蚊とのバトルがつきものですが(笑)今回はその大敵もいなかったのでとても過ごしやすかったです。
夕方には目の前の山に夕日が当たり、ピンク色に染まる素晴らしい景色を眺めることができます。ピレネーの自然を存分に味わいたい方は是非、キャンプ場も利用してみてください。夜は虫の音が聞こえ、満点の星も見えますよ♪
最後に
今回、フランス側のピレネーで朝トロッコ列車に乗り、その後スペインのトルラへ行き、夕方国立公園でお散歩をしました。結構盛沢山になりますが、距離はそこまで離れていないので1日で十分回れると思います。(トロッコで滞在時間をもっと長くとる場合は、国立公園でのトレッキングや散策は、時間的に難しくなるので別日にした方が良いです。)
私がピレネーに訪れたのは10月上旬ですが、かなり朝晩は冷え込み、完全に冬の支度が必要でした。トロッコに乗る際は、フリースの上にダウンを着用しましたし、キャンプ場の車中泊では、冬用の寝袋を掛布団代わりに使用していました。バカンスシーズンが終わった後は、夏服では到底太刀打ちできませんので、それなりに暖を取れる服装や装備の準備をしてきてください。
また、レンタカーを利用されない方は、交通手段がほとんどない場所になりますので、手っ取り早い方法はツアーやチャーターなどになると思います。基本は、私も個人旅行なのですが、個人旅行で行った先でツアー会社にお願いして手配して頂くことも中にはあります。利用の仕方によっては、大変便利ですので検討されるのも良いかと思います。
行きにくい場所ではありますが、その分大変素晴らしい自然を見ることができますので、是非機会があればピレネーに行ってみてください。
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